国際線CAに聞いてみた、幸せのレイアウト術

vol.6

CAが語る世界のパーティー事情
「ドイツのクリスマス」


こんにちは。大塚家具の小川美絵です。私たち大塚家具は現在、「幸せをレイアウトしよう」を企業スローガンとして掲げています。キャビンアテンダントの方は世界各国のインテリアはもちろん、衣食住にも精通し、その中で自分らしいライフスタイルを選択し、実践しています。その生き方はまさに、「幸せのレイアウト」を体現していると言えます。そんなキャビンアテンダントの方から、さまざまなお話を伺っていく本連載。

第6回の今回は、ドイツの航空会社に勤務する清水陽子さんに、「ドイツのクリスマスの特徴やドイツ流の自宅の演出法」について伺いました。

  • フレンドリーで、分け隔てないのがドイツ人の魅力!
  • 日本人とも似ている!? 合理的な一面もあるドイツ人!
  • インテリア選びも家族と一緒に楽しむのがドイツ流!
  • ドイツでは、道行く人にもクリスマス気分を!
  • 当日よりも“それまで”を楽しむ「ドイツのクリスマス」!

Lesson.1

フレンドリーで、分け隔てないのがドイツ人の魅力!

小川 清水さんは、どれくらいの頻度で日本とドイツを行き来されているのですか?

清水 月に3回ほどです。基本的にはドイツにいることが多く、休暇のときにだけ日本に帰って来ています。プライベートだと今回が今年で3回目です。

小川 そうなのですね。生活の拠点もドイツとなると、さまざまな面でドイツ文化の影響を受けていらっしゃるのでは?

清水 それはありますね。

小川 ドイツの航空会社を選ばれたのも、元々ドイツに興味があったからですか?

清水 はい。大学時代からドイツに親しみを感じていました。外国語大学に通っていたこともあり、周囲も「海外で働きたい」という意識を持っている友人が多かったんです。私も同様に、「日本と海外を行き来するような仕事がしたい」と思っていました。その中でもドイツの航空会社を選んだ理由のひとつは、学生時代に訪れたドイツで「人の温かさ」を感じたからです。私が出会ったドイツの方々は、誰もが身振り手振りを交えて、一生懸命に意思を伝えようとしてくれました。そこに親しみを覚えたんです。ドイツは環境への意識が高いので、住みやすそうだとも思いました。

小川 ドイツの方はフレンドリーなのですね。

清水 はい。多民族国家ということもあってか、観光客に普通に道を尋ねる人もいるくらいです(笑)。

小川 分け隔てないわけですね!

清水 そうなんです!優しい人が多い国ですね。

Lesson.2

日本人とも似ている!? 合理的な一面もあるドイツ人!

小川 実際にドイツで暮らしてみて、他に気付いた点はありますか?

清水 お金や時間に対する意識が高いですね。とてもしっかりしています。合理的な考え方の人が多く、倹約もしますし、日本的な「5分前行動」をするドイツ人も多いです。

小川 その辺りは日本と似ていますね。

清水 そうですね。ただ、倹約する一方で、毎年休暇は必ず家族で海外旅行に行くという方も多いです。ドイツ人は休暇のために働き、休暇のために倹約をしていると言っても過言ではないほどです。

小川 そうした休暇や休日は、家族と過ごす方が多いのですか?

清水 はい。ドイツでは、共働きの家庭も多いんです。ただ、家族との時間をとても大切にしていて、休暇を家族と過ごすことは特に大事にしています。だから、年に数回は家族旅行をしますし、週末も家族で食事をするという家庭も多いですね。

小川 やはりヨーロッパの方は家族と過ごす時間が長いのですね。

清水 倹約の仕方も日本人からすると少し変わっています。日本人は旅行やジムに行くときは、トラベルセットのような携帯ボトル入りのシャンプーを使いますよね?

小川 ええ。ドイツの方は使わないのですか?

清水 はい。大きなボトル入りのシャンプーをそのまま持ってきたりします。理由は「ビッグボトルの方がコストパフォーマンスがいいから」です。ただ、同行した他の人にも「よかったら使って」と声を掛けますから、「シェアできる」という点にもビッグボトルの魅力を感じているのかもしれません。

小川 そうなんですね。ドイツの方は非常に合理的に判断して、日用品も購入されるのですね。

清水 はい。お弁当を持って来る人も多いですし、本当にドイツ人はしっかりしています。これは私もドイツで暮らすようになってから初めて知りました。

小川 家族旅行のために普段は倹約する。実に合理的ですね。

Lesson.3

インテリア選びも家族と一緒に楽しむのがドイツ流!

小川 お金の感覚がしっかりしているとなると、家のインテリアもコストパフォーマンスを重視されるのですか?

清水 無駄な買い物はしないという印象はありますね。たとえば、日本だと家具はまとめて一気に購入される方もいると思うんですが、ドイツ人は、ひとつずつ購入します。時間をかけて少しずつ家を完成させていく、といいますか。

小川 それは家具を吟味するからですか?

清水 それもありますが、そうやって、ゆっくりと完成していく時間を楽しんでいるんだと思います。ひとつの家具を買うだけでも、家族と相談をしながら、何度もウインドウショッピングをしますし。

小川 インテリア選びも家族と一緒に楽しむのがドイツ流なんですね。

清水 はい。あとDIYも好きですね。たとえば既製品のドアの取っ手だけを付け替えたり、他にも、自分の気にいるものが見つからなかったり、サイズが合わなければ、木材などの材料だけを買って、自分で家具を手作りする、なんてこともあります。それだけ自分や家族が過ごす空間に対するこだわりが強い、とも言えると思います。

小川 ちなみに、DIYの技術はどこで学ぶのでしょう?

清水 子どもの頃から親と一緒に工具を使って、何かを作った経験のある人が多いので、自然と身に付くのだと思います。だから自分で自宅の壁に穴を開けて棚を作ったり、賃貸でも借りている間だけ、自分の好きな色に壁を塗り替えたり、床張りを変えて楽しんでいますよ。

小川 賃貸でもDIYで空間を演出できるというのは、羨ましいですね。

清水 しかも、あまりトレンドに流されないので、インテリアにも「各家庭の色」があり、それを見るのがとても楽しいんです。たとえばオレンジが好きな私の知人は、バスルームも含めて基本はオレンジ色で統一しているのですが、キッチングッズに関してはすべてアンティークで揃えているんです。一見アンバランスに見えるものでも、うまく調和させて自分のスタイルとして表現してしまうあたりは、さすがだなと思いますね。

Lesson.4

ドイツでは、道行く人にもクリスマス気分を!

小川 家具は少しずつ増やしていくというお話がありましたが、この時期だとクリスマスが近いですよね。その準備はどのようにしていくのですか?

清水 クリスマスの装飾品も家具同様、毎年少しずつ増やしていく家庭が多いですね。それが彼らの楽しみでもあるんです。

小川 毎年一緒ではない飾りを楽しむわけですね。

清水 はい、そうです。ドイツ人は基本的にイベント好きですから、もちろんクリスマスも大好きです。夏に行われるワインフェスティバル以降はクリスマスまで大きなイベントがないこともあり、10月の始め頃にはスーパーや雑貨店にクリスマス仕様のお菓子やツリー用の装飾品が並び、街全体がクリスマスモードになっていきます。

小川 早い時期からクリスマスモードになるのですね。ドイツのみなさんはどのようにクリスマスに向けて準備されるのですか?

清水 街にクリスマスのグッズが並び始めると、クリスマスツリーやデコレーション、窓飾りや庭の電飾などを購入し、準備を進めていくんです。

小川 具体的にはどんな風に部屋を演出していくのですか?

清水 クリスマスにしか使わないテーブルクロスやグラスを出す家庭もあります。テーブルクロスの色をクリスマスカラー(赤、青、緑)に変えたり、ナプキンの色や柄もクリスマス仕様にしたりします。さらに窓の外から見える位置に、星の形をしたライトや、天使の置物のキャンドルを飾り、クリスマスの雰囲気や季節感を演出しています。

小川 窓の外から見える場所を飾るのには、何か理由があるのでしょうか?

清水 窓際に置物をしている家庭が多いのは、彼らの心意気だと思います。バルコニーや外から見える位置を飾れば、道行く人もクリスマスを楽しむことができますから。

小川 それは素敵な発想ですね。ただ、決して大掛かりなことをするわけではないんですね。

清水 そうですね。家の中のベースはいつものまま、少し変化を加えることで、季節感を演出して楽しんでいます。その素朴さもドイツ人らしいですよね。

Lesson.5

当日よりも“それまで”を楽しむ「ドイツのクリスマス」!

小川 ドイツの方は、クリスマス当日はどのように過ごされるのですか?

清水 クリスマス当日はどこのお店も休みになるので、大勢が集まる盛大なパーティーを行うというよりは、家族でお祝いするのが一般的です。食事は豪華なものではなく、むしろ質素です。なぜならクリスマスは、聖母マリアが馬小屋でイエス・キリストを生んだ日であり、厳かな気持ちを抱く日だとドイツ人は考えているからです。

小川 クリスマスは静かに過ごすのですね。日本だと「クリスマスパーティー」をする方もいますが、そういった方はいないのですか?

清水 そうですね。日本のような派手さはありませんし、盛大なパーティーというのも、聞いたことがないですね。むしろ当日よりも、クリスマスまでを楽しむ、という雰囲気です。たとえば、クリスマスの4週間前から、テーブルに4本のろうそくを立て、1週間に1本ずつ火を灯していくんです。毎週火が灯っていく様子はカウントダウンの意味合いもあって、気持ちも高まっていきます。

小川 おしゃれですね。

清水 ちなみに、クリスマスは家族で過ごす方が多いのですが、年末年始は友人同士で過ごす方も多いんです。

小川 そうなのですね。

清水 そこでは家具の話が出ることもあります。椅子ひとつについて、20分くらい語る人も普通にいますよ。家具選びにじっくり時間をかける人が多いですから、「ずっと目をつけていたものを、ついに買った」という話や、購入した家具への思いを語る人も多いですね。

小川 時間をかけて選ぶ分、家具への思い入れも大きいんですね。

清水 はい。それに、ドイツ人はそもそも家具が好きな人が多いですから。

小川 今回、初めて知るドイツの話も多かったのですが、清水さん自身は、ドイツで暮らし始めてから、何か変化はありましたか?

清水 無駄なものは買わなくなりましたね。「本当にいま買うべきものか、必要なものかどうか」を考えてから買うようになりました。また、散歩に出かけるなど、お金を使わずに楽しむ時間も増えました。ウインドウショッピングをすることも多くなりました。

小川 日本流にこだわることなく、ドイツ流の日々を楽しんでいらっしゃるというのは、とても素敵なことだと思います。本日は貴重なお話をたくさん聞かせていただき、本当にありがとうございました。

清水 こちらこそ、ありがとうございました。

Guest

清水陽子(しみず・ようこ)

Profile

清水陽子(しみず・ようこ)

大学卒業後、銀行、英会話学校の勤務を経て、ドイツの航空会社に既卒入社。現在、日本人客室乗務員として勤続5年目。趣味はヨガやロードバイク、カフェ巡り。最近のマイブームは、「朝からアクティブ」をテーマに、早起きをして散歩をしたり、カフェで朝食を楽しむこと。

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